「岬めぐり」
今年、2023年は、なんだか、たくさんのミュージシャンが次々と亡くなっていったような気がする。
1月 高橋幸宏(YMO 享年70)
鮎川誠(シーナ&ロケッツ 享年74)
3月 坂本龍一(YMO 享年71)
7月 PANTA (頭脳警察 享年73)
10月 谷村新司 (アリス 享年74)
もんたよしのり(もんた&ブラザーズ 享年72)
11月 大橋純子(享年73)
私の耳に馴染んだ人たち(程度の差はあるが)を挙げてみると、上のようなことになるかなあ。
70越えの数字(年齢)がずらっと並んでいる。みな、私と同世代…。遠からず私も…と、わが身をかえりみる。
去年は、山本コウタローさんも亡くなった。享年 73。いやはや、まったくもう…。
坂本龍一さんに関する話をすこし書こうと思っていたのだが、それは次回にして、今回は、山本コウタローさんの曲「岬めぐり」を聴いてみたい、そんな気持になった。
山本コウタローさんといえば、まず大ヒットした「走れ、コウタロー」(1970年)が挙げられるだろうが、私はそのコミカルな歌よりも、「岬めぐり」(1974年)のほうが当時からしっくりときた。
作詞が山上路夫さんだと知ったとき、なるほどと得心した。(作曲は山本厚太郎(=山本コウタロー))。
イントロの、スリーフィンガーのギターとリコーダーの調べに導かれるように歌が始まるが、その冒頭の、
「あなたがいつか話してくれた 岬をボクは訪ねてきた
ふたりで行くと約束したが いまではそれもかなわないこと…」
の一節で、これはまいった! だった。
(↑ 山本コウタローとウィークエンド。コウタローさん(山本厚太郎)、若いなあ! 彼の人柄が映像にもおのずと滲み出ているなあ。)
初めてこの曲を聴いたとき、失恋した男が自身の未練を吹っ切ろうと旅に出た話だと思ったのだが(それでもいいが)、すぐに、そうではなく、何かの事情で亡くなった女性を「哀悼」する旅に出た歌ではないかと思い直した。男は愛したその女性を心から哀悼し、あの「約束」を果たすために、そして、もう一度みずから生き直すために旅に出たのだ、と…。そう気づいたとき、その歌がいっそう好ましく感じられるようになった。
「悲しみ深く 胸に沈めたら この旅終えて 街に帰ろう」
かつて親しく交わった友が、ひとり、またひとりと、この世を去っていく。
その「悲しみ」は、「胸に沈め」てはいても、消え去ったわけではない。
私にとっての「岬めぐり」は、どこで、何をすることなのだろう?
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