生老病死 (1) 病院の待合室で

先日、数年ぶりで健康診断を受けた。

仕事をしていた頃は、年に一度受診していたのだが、退職後はずっと受診していなかった。毎年、自治体から国民健康保険加入者あての健康診断案内が届いてはいたが、会場まで出向いて「集団検診」というのはちょっとめんどくさいなあと、これまで避けていた。ところが、昨年末、近所の医院でも個別に受診できると知って出かけてみることにした。

年末に医院で血液検査や胸部レントゲン検査を、そして、年明けに胃の内視鏡検査を別途、徒歩圏にある綜合病院で受けた(高齢者は無料)。受診後しばらくして、その健診の結果通知があり、注意事項はあったものの、再検査や治療を要する異状はなく、まずはひと安心だった。

ところで、内視鏡検査を受けるために出向いた病院で順番待ちをしていたときのことである。広い待合室ホールにはたくさんの来院者、そして付き添いの人たちがいた。そのほとんどは、私と同じか、もっと年長(80代)の「高齢者」だった。また、入院中の患者を病院スタッフがストレッチャーにのせて、ホールを横切ることも何度かあった。

「あぁ、いずれ自分もこんなふうに通院したり入院したりするのだろうな」。ホールで診察を待つ人たち、ストレッチャーにのった人たちに、我が身の行く末をどこか重ねて見ている自分がいた。

そして、「父に付き添って、こんなふうに病院で順番待ちをしていたことがあったなあ」と、20数年前のことが、ふと思い起こされてきた。

 (つづく)


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